バスケ経験者でもシュートが届かない。競技で初めて車いすに乗った岡田さんが広げる車いすバスケの奥深さ【福島県郡山市】

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車いすバスケットボール愛好会「BTwin(ビーティーウィン)」の岡田浩介さん。競技の魅力や地域で活動を続ける思いを語った

福島県郡山市を拠点に活動する車いすバスケットボール愛好会「BTwin(ビーティーウィン)」。小学生から70代まで幅広い年齢層のメンバーが集まり、週に一度体育館で汗を流している。競技人口の減少や用具不足といった課題を抱えながらも、地域に根差した活動を続けるチームだ。約10年間所属する岡田浩介(おかだこうすけ)さんに、車いすバスケットボールの魅力や、これから目指す姿について話を聞いた。

車いすバスケットボールって?

車いすバスケットボールは、競技用車いすを使って行うバスケットボールだ。リングの高さやコートの広さ、ボールの大きさは一般のバスケットボールとほぼ同じで、ルールも共通する部分が多い。スピードや俊敏性、持久力に加えて、車いすを操作する技術などが決め手となる。かつ、障がいのある選手だけでなく、健常者も一緒にプレーできることも特徴で、互いに同じコートで技術を競い合う。

福島県には全県域で活動する「TEAM EARTH」があるが、郡山市を拠点とする地域密着型チームとして活動しているのがBTwinである。

年齢や障がいの有無を問わず、一緒にプレーできることも車いすバスケットボールの魅力の一つ

 普通のバスケットボールと、どう違う?

車いすバスケットボールの最大の特徴は、競技用車いすを自在に操りながらプレーする点にある。競技用車いすは、車輪がハの字に広がった独特の構造をしている。高速での方向転換に適している一方、思い通りに操作するには技術が必要だ。選手は車いすをこぎながら、パスやドリブル、シュートを繰り出す。一般的なバスケットボールとは、まったく異なる感覚が求められる競技である。

高校時代までバスケットボールを経験していた岡田さんも、その難しさを身をもって感じた一人だ。

「私は福祉用具を扱う会社に勤めていて、それがきっかけで車いすバスケットボールを知りました。私は障害があるわけではなく、普段は車いすを使いません。でも、バスケットボールの経験があったので、最初は少し自信があったんです。それでも、初めて競技用車いすに乗った時は、シュートがリングまで届きませんでした。それが逆に面白かったんです」

数十年の歴史を持つ「BTwin」。現在も毎週水曜日に活動を続けている

なぜ郡山で活動を続けているのか?

BTwinは数十年の歴史を持つチームである。チーム名は、かつての先輩が名付けたもので、「バスケットで勝とう」という思いが込められているという。

現在は毎週水曜日に練習を行い、小学生から70代まで約20人が参加している。中心となるのは30代から40代で、年齢や学校、障がいの有無を問わず一緒にプレーできることが、このチームの大きな特徴だ。

岡田さんは活動の魅力をこう語る。

「学校も学年も違う子どもたちが、ここに来るとすぐ仲良くなるんです」

実際に練習会場では、年齢も学校も異なる子どもたちが自然に声を掛け合い、一緒にプレーする姿が見られた。競技だけでなく、人と人とのつながりを育む場にもなっている。

競技用の車いす。試合はスピード感あふれる攻防が見どころだ

コロナ禍を経て、競技人口は減少

一方で、活動は決して順風満帆ではない。

コロナ禍では10代、20代の参加者が減少し、「このまま続けられるのか、と感じた時期もあった」と話す岡田さん。小学生の頃に始めても、中学・高校へ進学すると部活動や勉強が忙しくなり、競技から離れる人が少なくない。現在も競技人口は減少傾向にある。

競技用車いすは選手の体格に合わせて使い分けるため、場合によっては台数不足になることも

さらに課題となっているのが、競技用車いすの不足である。

チームが所有する車いすは約10台。体格に合わせたサイズが必要だが、体験会で参加者が多く集まると人数分を用意できないため、十分な台数をそろえることは容易ではない。

「東北全体で競技人口は減っています。関東は人が集まるので強いチームも多いんですが……」

岡田さんは、地域で競技を続けていく難しさに危機感を抱いている。

ボールに込められた言葉は、BTwinが大切にする思いとも重なる

車いすバスケットボールの今、これから

その一方で、地域との新たなつながりも少しずつ広がっている。

県から依頼を受け、小学生を中心とした体験教室を開催するようになった。多い時には約40人が参加し、健常者も障がい者も同じコートで競技を体験している。

岡田さんは、体験会にはスポーツを知ってもらう以上の意味があると話す。

「段差を越える時どうしているんだろう、曲がる時はどうしているんだろう。車いすで生活している人たちのことを知るきっかけにもなればと思っています」

さらに、同じコートでプレーすることが、互いへの理解につながるとも感じている。

「障がいがあるとかないとか関係ないんです。車いすの操作もシュートも、障がいのある選手の方が上手なこともたくさんありますから」

競技を通じて、お互いを知る機会を増やしていくこと。それもBTwinが大切にしている活動の一つである。

練習の合間には、健常者が車いすに試乗することも可能だ

まずは一度、見てほしい

車いすバスケットボールの見どころを尋ねると、岡田さんは迷わず答えた。

「やっぱりスピードですね。それと、車いすに座ったままでもあんなシュートが入るんだ、というところです」

年に一度の大会を目標に練習を続けるBTwinは、今年からSNSでの情報発信にも取り組み始めた。目標は勝利だけではない。

「まずは車いすバスケットボールを知ってもらうことです」

最後に読者へのメッセージをお願いすると、岡田さんは少し考え、穏やかな表情でこう語った。

「まず、見てください。それが一番です」

競技人口の減少や用具不足など課題はある。しかし、コートの上では年齢も障がいの有無も関係ない。体育館を駆け抜ける競技用車いすのスピード、ぶつかり合う迫力、そして鮮やかに決まるシュート。その魅力は、一度会場で観戦すればきっと実感できるはずである。

写真はすべて2026年5月20日、郡山市障害者福祉センターにて筆者撮影

参考資料:車いすバスケットボールを知る(一般社団法人 日本車いすバスケットボール連盟)、車いすバスケットボール(一般財団法人 教職員生涯福祉財団)

BTwinの活動の様子はこちらから:https://www.instagram.com/bt.win_/

昆愛

昆愛

埼玉県川越市出身。前住地は山形県鶴岡市。会社員のかたわら、地域資源の掘り起こしとその魅力発信活動に取り組む。2024年、天文活動の報告・交流等を目的としたシンポジウムでの発表「天文文化史で地元の魅力発信?九曜紋が導く新たな誘客構想とは【福島県南相馬市】」で渡部潤一奨励賞を2年連続受賞。2025年には写真を通じた地域情報発信の一環として、郡山市(福島県)の市民カメラマンも務めた。

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