5月なのに雪が残る。春夏秋冬、一期一会の出会い「蔵王・御釜」の神秘的な姿【宮城県蔵王町】

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夏とは違う姿を見せた蔵王・御釜

5月、神奈川県から友人が山形に遊びに来てくれたので、一緒に宮城県と山形県の県境にある蔵王(ざおう)連峰の御釜(おかま)を訪れた。

筆者にとって御釜を訪れるのは2回目。前回は2年前の8月だった。今回は季節を変えて訪れてみたのだが、同じ場所とは思えないほど異なる景色が広がっていた。
改めて、自然は季節ごとにまったく違う表情を見せてくれることを実感した。

夏の日差しがつくる鮮やかな湖面

御釜は、宮城県と山形県の県境に位置する蔵王連峰の中央部、標高約1600メートルにある火口湖である。

噴火によってできた火口に長い年月をかけて水がたまり、現在の湖となった。その形が釜に似ていることから「御釜」と呼ばれるようになった。

湖面は美しいエメラルドグリーンに輝き、火山活動や太陽光の当たり方によって色合いを変えることから、「五色湖」とも呼ばれている。
一方で、その美しさの裏には火山の厳しい自然も隠れている。湖は強い酸性のため生物は生息しておらず、現在も湖底から火山ガスが発生している。

標高約1600メートルという高地に位置するため、ふもととは気候が大きく異なることも特徴の一つだ。春になって平地が暖かくなっても、山頂付近には雪が残り、季節がゆっくりと進んでいく。
美しさと厳しさ。その両方を併せ持つ景観こそが、御釜の魅力なのだろう。

夏の御釜の湖面

5月に残る冬の足跡

そんな御釜が、季節によって大きく姿を変えることを今回知った。
御釜へ向かうには、蔵王エコーラインと蔵王ハイラインを通る必要がある。

5月の山形市街地はすでに初夏の陽気で、半袖姿の人も見られるほどだった。しかし、車で山を登っていくにつれて空気は次第に冷たくなり、道路脇には雪が姿を現し始めた。

標高が上がるにつれて雪はさらに増え、気温もふもとより10度ほど低くなっていた。
平地では春から初夏へと季節が進んでいるのに、山の上ではまだ冬が終わりきっていない。山の気候がこれほどまでに違うことに驚かされた。

御釜への道中の駐車場に残る雪

1年前とは違う景色に出会う

御釜に到着すると、カルデラを囲む山肌にはまだ雪が残っていた。

冬季は蔵王エコーラインが閉鎖されるため、雪景色の御釜を見ることはできない。しかし、冬季閉鎖が解除された直後の5月に訪れたことで、冬の名残を感じることができた。

訪れた日はあいにくの雨模様だった。厚い雲が空を覆い、2年前に見た夏の強い日差しはない。それでも、落ち着いた色合いを見せる湖面と残雪のコントラストは、夏とはまったく異なる趣を生み出していた。

同じ場所でありながら、1年を通してこれほど表情を変える。それはまるで、1枚の絵が季節ごとに描き直されていくようだった。

画面左側の白い部分が残雪。夏と異なる様相を見せる

季節ごとに訪れたくなる場所

火山がつくり出したダイナミックな地形は、まるでフィクションの世界のような非日常を感じさせてくれる。

冬季は道路が閉鎖されるため、雪に閉ざされた御釜を訪れることはできない。
だからこそ、春の残雪、夏の鮮やかな湖面、秋の澄んだ空気と、1年を通して異なる表情を見せる御釜には、何度でも足を運びたくなる。

次はどんな景色を見せてくれるのか。そんな期待を抱かせてくれるのも、蔵王・御釜の魅力なのだろう。

ぜひこの夏、蔵王連峰が生み出した神秘の湖を訪れ、その雄大な景色を自分の目で確かめてほしい。

※写真はすべて2026年5月筆者撮影

情報

所在:宮城県蔵王国定公園内
アクセス
・東北自動車道「村田IC」もしくは「白石IC」から車で約1時間
・ミヤコーバス「蔵王刈田山頂行き」土日祝日のみ1日1本運行
・蔵王ハイライン通行料がかかります
追加情報:11月初旬~4月下旬は冬季閉鎖のため見学不可

田口雄太

田口雄太

神奈川県出身。現在は山形県で探究教室の運営に携わっています。アフリカ・ルワンダでの2年間の生活経験もあり、旅と写真を通して、その土地ならではの感動を伝える記事づくりを目指していきます。

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