9月編集長マンスリーレビュー 「ほかのメディアが取り上げない価値」を伝える

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10月に入り、少しずつ秋めいてきました。9月のローカリティ!には、夏の祭りや地域に受け継がれる風習をたどる記事から、自身の経験を通して生き方や暮らしを見つめ直す記事まで、多彩な21本が集まりました。身近な「なぜ?」や心が動いた瞬間から、その土地や人の知られざる一面が見えてきます。今月も、記事に込められた驚き・発見・感動を振り返っていきます。

地域の祭りや風習に息づく記憶

地域に残る習慣を記録することも、ジャーナリズムの大切な役割です。昔と全く同じ風景ではなくても、今を生きる人たちが楽しみながら受け継いでいく。その姿を残すことこそ、ローカリティ!が大切にしたいことだと感じました。写真もいいですね。風習だけでなく、それを支える商店街にも目を向けているところが印象に残りました。

やっぱり写真がうまいですね。全体を通して、その場での体験を伝えるルポルタージュになっているのがいいと思います。祭りの情報を知るだけでなく、現場の様子を一緒に味わえる記事になっています。

地元の歌が一度東京へ出て、再び地域へ戻ってくる。その話がとても面白く、驚きました。加藤さんがこれまで書いてきた記事の中でも、特に印象に残る一本です。「デカンショ」という言葉を入り口に、歌がたどってきた道のりまで知ることができました。

タイ北西部の秘境・メーサリアンの伝統祭りOk-Wa。雨季が明け、町が灯りに包まれる(前編)【タイ・メーサリアン】

なかなか訪れる機会のない場所へ足を運んでいることに、まず引かれます。旅の記事を続けて読むと、自分も行ってみたい、うらやましいなという気持ちになります。前後編を通して、写真の力も印象に残りました。写真そのものが現地の様子を物語っています。旅先で見てきたものを、こうして伝えてもらえるのはいいですね。

花笠まつりと聞いて思い浮かべる姿とは違い、自由な表現があることに驚きました。「変わることもまた、祭りを受け継ぐ一つの方法なのではないか」という気づきが素晴らしい。この一言を書けたことに、大きな意味があると思います。移住してから見続けてきたからこその視点ですね。

身近な疑問から、土地や暮らしの歴史をたどる

「足元に広がる北海道」という表現が、とても面白いですね。話を聞いて想像することと、実際に現場へ行くことは違う。足元に目を向けて見つけたものから、現地を歩くことの意味が伝わってきます。

とてもマニアックで面白い話でした。同時に、こうした歴史の記事は「本当にそうなのか」を確かめる資料が欠かせません。鉄道の免許や計画の経緯など、一つひとつ裏付けを取る大変さも感じます。意外な話を伝える面白さと、根拠を確かめる大切さの両方がある記事ですね。

身近にあった時報を調べていくと、さらに疑問が湧いてきますね。岩下食品は栃木市の会社なのに、なぜ福島県で時報を流していたのか。記事を読んで、そこがとても気になりました。なくなった理由に加えて、そもそもその地域で流れるようになった背景も、掘り下げてみたくなります。

大会という時事的な話題と、足元の歴史がつながっているのがいいですね。違う地域に暮らしていると、大会もどこか遠い世界の出来事に感じますが、この記事から現地の空気を少し感じることができました。身近な場所に貝塚があるという驚きから、詳しく調べてくれています。

自分の経験と向き合い、生き方をひらく

髪質が変わったことや、ウィッグをいろいろ試してみたこと。ご自身の経験から書かれた、いい記事ですね。治療後の変化を、こうして具体的に伝えてくれました。

5000万円という金額にも、その後トラック運転手として働いたという歩みにも驚きました。よくこういう方を見つけましたね。松井さんの取材は、ご自身が抱いている問いともつながっていると感じます。自分の中にある問いを携えて人に会うことが、取材の出発点になっているのがいいですね。

松井さんの一連の記事には、松井さんの自身への問いが通っていると感じます。取材を通して他の人を知ることが、自分の抱えているものと向き合うことにもつながっている。その姿勢が素晴らしいと思います。

松井さんの記事を読んでいると、こうした方々にどうやって出会っているのだろう、と気になりますね。人との出会いを重ね、ご自身の問いにつながる取材を続けていることが印象に残りました。

人が集まる場と、自ら動くための余白をつくる

伝えたい内容はいいので、構成を整えると、もっと読みやすくなります。背景の説明から入るより、後半にある現場の描写を前に持ってきてはどうでしょうか。髙橋さんの何が印象的だったのかを先に示し、その後に背景や歩みを伝える。描写と背景を分けると、情報の羅列に見えず、記事に抑揚が生まれると思います。

「好きだからやっている」という人間の熱量や、その背景にある思いが人の心を動かす。そこに強く共感しました。松井さん自身も心が動いたからこそ、その言葉を記事で取り上げたのだと思います。自分が心地いい、楽しいと感じる瞬間を細かく認識すること。心の揺らぎを大切にするという考え方も、とても好きですね。

面白い内容でした。私たちも、もっとAIを使っていかなければと思います。そのうえで、筆者がなぜこの方を取材しようと思ったのかも知りたくなりました。何に引かれ、何を確かめたくて会いに行ったのか。その動機が伝わると、さらに面白い記事になると思います。

これは、とてもローカリティ!らしい記事だと感じました。大手ショッピングセンターが撤退した後の街で、手作りマルシェを始めた夫婦に目を向けている。その地域で動いている人を伝える、こういう記事はいいですね。

旅先で出会う風景と、その土地の暮らし

今回はフランス紀行ですね。続くタイの記事と合わせて、阿部さんの旅先の広がりを感じました。

コメントができないくらい、すごいですね。言葉の通じにくい場所まで足を運んでいることにも驚きます。阿部さんの旅の記事は、写真そのものが現地の様子を物語っていて、その力も印象に残りました。

災害の実体験から、暮らしの備えを問い直す

実際にその場で経験したことが書かれていて、現場性のある記事ですね。一点、過去の東海豪雨に触れる際は、「26年前」だけでなく、何年の出来事なのかも示しておくと親切です。その災害を知らない読者にも伝わるよう、背景を補っておきたいですね。

ほかのメディアが取り上げない価値に、目を向ける

あさって10月17日に開催するロカフェスに向けて、ハツレポグランプリ2026の投票も、いよいよ大詰めを迎えています。

ホームページでは、グランプリにノミネートされた15作品に加え、一次選考を通過した50作品や、「時代の開拓者たち」の15作品も公開しています。

ほかのメディアでは取り上げないであろう題材が並び、とてもローカリティ!らしい作品が集まったと感じています。私たちが何を価値として伝えようとしているのかが、そこに表れています。ぜひ読んでみてください。

投票の対象は、ハツレポグランプリにノミネートされた15作品です。 記事を読み、投票にも参加していただけたらうれしいです。

ハツレポグランプリ2026ノミネート15作品

ハツレポグランプリ2026ノミネート候補50作品

時代の開拓者たちベスト15:

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ローカリティ!編集部

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