時の香り、まちの息吹 、金木犀と人がいなくなった岡崎団地の物語【和歌山県和歌山市】

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現代社会では新しいものへの欲望が極めて過剰であり、その中で私は疑問を感じずにはいられない。今年、金木犀が注目を集め、その優雅な香りが秋の風景を彩っていた。

通常、9月中旬から10月下旬にかけて咲くとされる金木犀は、気温の影響で高温になるほど遅れると言われている。

この美しい金木犀が住む場所は和歌山市東部の岡崎団地で、しかし、その持ち主は既にここに住んでいない。

岡崎団地では建て替えが進行中で、昭和30年代から昭和40年代にかけてのベビーブームや高度経済成長期の影響で、数多くの子育て世代が団地での生活を楽しんできたが、老朽化が進み変化の時を迎えている。

昔はこの団地で多くの子どもたちが楽しそうに遊んでいたが、今ではその姿が見当たらない。

建て替えが進む中、高齢の住民も姿を見せない。賑やかだった場所が寂れる光景に、過去と未来の対比がくっきりと感じられる。

美しい金木犀の持ち主が手入れに来なくなり、建て替えの過程で木が失われるのではないかと懸念している。

そして、切り倒された木の横で気にも留めずにおしゃれな女性が歩く様子を想像してみる。

果たして、この金木犀の香りは新しい時代に引き継がれていくのだろうか。

岡崎団地では建て替えが進みながら、なぜ人とのコミュニケーションが閉ざされてしまったのだろうか。まちづくりの話し合いは、まちの人々が気軽に話し合う方がより効果的ではないか?

もはやこの金木犀の香りを嗅ぎにくる人はいない。

建て替えの際どんな団地にしたいのか、そのビジョンを共有するために、なぜ話し合いが行われなかったのだろうか?

まちづくりは、その地域の人々が真剣に考え、共有するものであってほしいと切に願う。

野口千惠

野口千惠

和歌山県和歌山市

第5期ハツレポーター

和歌山市生まれ、地方新聞社勤務時、まちづくりを始める。その後地方創生の会社にスカウトされる。文章でまちづくりのお手伝いをする。

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